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火狩りの王 (1)春ノ火

 

火狩りの王〈一〉 春ノ火

火狩りの王〈一〉 春ノ火

 

 一度崩壊した世界。黒々とした森の中に点在する村で細々と暮らす人々がいた。天然の火が近くにあると発火してしまうため、人々が使うのは火狩りが狩った炎魔たちから採る特殊な火のみ。灯子は森で炎魔に襲われ、火狩りに助けられるが、代わりにその火狩りは命を落としてしまった。彼の犬だったかなたは、以降灯子から離れなくなる。犬と彼の残した火狩りの鎌と守り石を返すため、灯子は火狩りが住むという首都に向かうことになる。村々から産物を集めて首都に向かう回収車に乗っていくのだ。一方首都ではその火狩りの妻が病気で命を落としていた。本来なら工場で働くのに、その才能を認められ奨学金で学院で学んでいた煌四は、病弱な妹緋名子を抱えて途方にくれていた。そこに手を差し伸べてきたのは資産家燠火家の当主だった。一人娘の綺羅は美しく優しい。緋名子は優秀な医師をつけてもらい体調が改善していった。当主は、代わりに雷火を使った武器の開発を依頼してきた。今、首都は不安定になり、神と神から追放された一族蜘蛛との対立が深まり危険な状態にある。武器がなければ人間は誰にも守られれずに破滅するというのだ。首都に抜かう途中、回収車が襲われ灯子は仲間2人とかろうじて脱出して首都に向かうことになるが、各地に異変が起きていることを知る。そして煌四も、千年彗星が近づいているという謎の知識を手に入れる。終末もので、なかなかスリリングな展開。ちょっと先が楽しみ。