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3000万語の格差

 

著者は、アメリカの小児人工内耳外科医。声や音が聞こえるようになっても、話せない、言葉が理解できない事例に接し、追跡研究を思い立ち、人は3歳までにどれだけ言葉かけをしてもらい「聞く」かによって、その後の読解や学力、自己制御力の伸びに影響を与えるか、を明らかにした。

言葉かけの格差は、3年間で3000万語に達し、親の学歴や経済的地位とは関連しなかったという。

また、かけられる言葉は、「肯定的で、子どもを応援する言葉」がよく、否定的、命令や禁止の言葉は、子どもの脳を極度なストレス状態に置き、言葉の習得を抑制するばかりでなく、発達への深刻な影響、学びの困難へと落としいれる。

「脳を育てる栄養」は「言葉」だけ。7歳くらいまでの子によく見られるひとりごと(セルフトーク)も、自分に向かっての語りかけで、よいことなのだとか。

後半半分は、著者たちが推進する「3000万語イニシアティブ」プロジェクトの実践方法とその成果、アメリカにおける広がり。 (は)