原書は1922年刊行。日本初訳1925(大正14)年。王様がお年を召してからうまれたキルディーンは、あまやかされて、わがままなお姫になってしまいます。もはや手におえない、とみんなが困り果てたとき、鷲の王様のお城にあずけられます。言葉を話せないけれども、威厳があり、厳しく接する鷲の王のもとで、姫は、今まであたりまえだった贅沢を徐々に反省するようになる。わがままだけど勝気で、簡単には降参しないキルディーンの造形は、なかなか魅力。だが、わがままをなおすには「ムチが必要」という発想は、時代の制約も感じる。なにしろ鷲なだけに、ワイルドに、汚れ放題ですごすというのは、なかなかおもしろいかも。古めかしさはあるが、予想以上には面白かった。