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ミルクこぼしちゃだめよ!

 

西アフリカの小さな村に住む女の子ペンダ。ヒツジを連れて山へ行っているおとうさんに、ミルクを届けます。ミルクをたっぷり入れたおわんを頭にのせて、こぼさないように気をつけて。

砂漠をのぼってくだって、舟で川をわたって、山のてっぺんを目指します。ラクダやキリンの群れ、砂漠の精霊たちやお祭りのおもしろいお面をかぶった人たちに見とれないように、舟がゆれてもミルクをこぼさないように。

なんとか無事に、お父さんが休んでいる木の下へたどりついたその時です。上からマンゴーが落ちてきて、ミルクのおわんの中へ「バッシャーン!」。泣き出すペンダ。

でも、おとうさんは言いました。「おまえの気持ちはおわんにいっぱい入っているよ、1滴もこぼれずにね」。そして、マンゴーを3つに分けて2人で食べ、1つはおかあさんのお土産にして、ペンダは帰ったのでした。

西アフリカのブルキナファソに暮らす英国人の作家に、英国のイラストレーター。

最後の場面では、ペンダが山を下り始め、家からたどった道中を見開きいっぱいに見渡す。欲を言えば、最後はおかあさんの元へ帰り着いたラストだとほっとします。 (は)