児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ムーンレディーの記憶

 

ムーンレディの記憶

ムーンレディの記憶

 

 転校したばかりのアメディオは、隣の家に入る同級生ウィリアムに気を引かれる。そこは元大富豪でオペラ歌手のセンダー夫人の家。年をとり、ケア付施設への転居に当り、ウィリアムの母に家の処分を依頼していたのだ。ウィリアムと気が合い、楽しく家財処分を宝探しとして楽しんだアメディオは、1枚の絵をみつける。「ムーンレディ」と名づけられた美しいモディリアーニの線画、そこには秘密の影があった。折から、アマディオの名づけ親ピーターは、戦時中ナチスに否定された近代芸術展覧会の開催と、父の死により形見の戦時中の手記の受取と向かい合っていた。すべての謎が絡まりあって解けるさまは「クローディア」のよう。「人の90パーセントは目にみえないの」と語るゼンダー夫人の言葉が印象的。続編としての面白さもあり。