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シーリと氷の海の海賊たち

 

子どもをさらってダイヤモンド鉱山で酷使するという海賊シロガラスがいる北の海。シーリとミーリは、母親を失くした仲のいい姉妹だが、ベリー採りに行ったとき、妹をシロガラスに攫われてしまう。父は、妹を連れ戻しに出ようとするが、崖から落ちたあと、体を壊している。シーリは、自分が妹を助けに行くと決意した。乗り込んだ船で、かつてやはり妹を攫われた過去を持つフレードリクと出会い。力強い、大人の彼の助力が得られることになって、ほっとするも、シロガラスを恐れる船長のせいで、シーリは一人で置き去りにされる。狼を狩る女、人魚の子ども、母親と暮らす男の子、さまざまな出会いに助けられるが、同時に、自分の納得のいく生き方にこだわるシーリ。ついにたどりついて出会ったシロガラスは、石炭からダイヤモンドを生成して設けることで海賊業をやめることを夢見て、自分はいいことをしている、と信じている男だった。だが、彼が行っているのは、子どもを石炭鉱山で酷使すること。やっとミーリと出会うも、どうしたらそこから抜け出せるのかわからない! 次から次へと危機が襲ってくるが、懸命に対処し、常に良いことをしようと願うシーリの姿は魅力。意外な展開はドラマチックで、ラジオドラマが元になっているというが、ハラハラドキドキで、聞き手は常に次回が待ち遠しかったろう。映画化しても楽しそう。