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獣の奏者 Ⅱ王獣編

 

獣の奏者 II 王獣編

獣の奏者 II 王獣編

 

 ミツバチを飼う老人ジョウンは、かつて王国最高学府の教師だった、陰謀で放逐された彼の帰還と共に、エリンも王国へ。生き物への愛と興味から王獣学舎で学び、傷ついた幼い王獣を助けようとして、無音の笛も滋養水も使わぬ獣と通じ合う飼育法をあみ出す。だが、それこそ霧の民が禁断の技としていた技術に通じるものだった。おりから真王と大公の間が険悪となり、真王が急死。王を守るイアンとエリンの間に心が通い合うも、跡継ぎのセィミヤ皇女は陰謀に巻き込まれ、エリンもまた利用されていく。そして、あえて獣と壁を作る飼育法が定められた謎がついに明かされ、新しい時代を開く戦いがはじまった。獣と心を通い合わせることとその限界。渦まく陰謀、太古の謎、そして大円団と、きれいいに着地。さまざまな問題に前向きに向かう姿勢は、この著者ならでは、納得のいく作品です。