1907年の原作だが、音楽教師の父の家の七人の子どもたちの物語は今なお読ませるものがある。明るいが、どこか子どもっぽさも感じる父さん。やさしいが、時には家事に疲れ果てる母さん。お母さんが、疲れて、子どもを置いて実家に帰るシーンがあるのだが、これ、日本だったらありえない! とおもいました。そして出色なのは音楽をこよなく愛する下から2番目の男の子フリーダーのキャラクター。少しばかり浮世離れしていて、ついうっかりと現実を忘れてしまう、やさしいけれど、不思議なキャラは、わりと模範的な兄弟の中で、際立った個性が魅力。このフリーダーがいるから、この本は古典になったと思います。