児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ふたりのママからきみたちへ

 

ふたりのママから、きみたちへ (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

ふたりのママから、きみたちへ (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

ディズニーで初めて挙式した同性婚の著者二人が、性同一性障害や、同性愛に悩み苦しんでいる若い読者のために、マイノリティであっても生きていていいという、セクシャリティーと家族などから自分たちの経験を元に書かれたエッセイ。こういった関連の本が児童書にはないので(しかもレズビアン)どんなもんかとおもったが、割とマイルド。著者のお一人が、小さい頃家庭に暴力がある環境だったと書いているから、本当はすごく辛いことを経験されてるだろうし、書けないことも多かろう。書き方を、自分たちが将来家族として迎えいれたい赤ちゃんに向けて書いたことも、マイルドになってる理由だとは思うが、果たして、現在クラスで自分は違うと感じ始めた子達にとって欲しい情報が入っているかは若干疑問。どちらかというと、同性愛をマジョリティの人たちに理解してもらうための本なのかもしれないなぁと思う。
家族や学校以外の大人と会う機会がない。相談してくれ!という大人はウザイという10代からの意見に、本を読むことを進める著者に、あぁ、この人たちは教室でひっそり本を読んでいたのだなと、想像してしまう。誰かもっと自分に対して責任のない大人に、話をきいてもらいたい子達は、想像以上に多いのかもしれない。