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ギフト 西のはての年代記Ⅰ

 

ギフト (西のはての年代記 (1))

ギフト (西のはての年代記 (1))

 

 貧しい高地に住む一族は、各々の“ギフト”を伝えていた。オレックのカスプロ家は“もどし”のギフト。全てを形づくられる前に戻す強大な力だが、オレックにはその力が現れない。しかし、ついにその力が現れた時、それは荒ぶるギフトとしてコントロールできずに暴走する。彼は自らの力を封じるため、目隠しをして暗闇の中で生きることを選択する。動物を呼ぶギフトを持つ幼馴染のグライ。父が低地から略奪してきた知的で魅力あふれる母。強い責任感で一族を支える父。貪欲で悪辣な隣人オッズ。美しい子ども時代から激動の思春期へ突入していく少年をきっちり描いているところはさすが、ル・グィン。オレックのギフトについての真相はまだ保留? そしてギフトの真の姿についての謎も。ある意味混乱もしているので、これをどう展開させていくかが鍵。