児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ギリシア神話物語

 

ギリシア神話物語 (昭和50年) (世界の児童文学名作シリーズ)

ギリシア神話物語 (昭和50年) (世界の児童文学名作シリーズ)

 

 天から赤ん坊が泣きながら落ちてくる衝撃的なシーンで物語は幕を開ける。それはゼウスとヘーラーの間に生まれながら、みにくさのために母に捨てられるヘーパイトスの姿だ。海の女神テティスとエウリュノメーに救われ、美しいものを作る鍛冶の神として成長する。このヘーパイトスを軸として、陽気なヘルメス、悩むプロメテウス、奔放なゼウス、誇り高きヘーラーの織りなす華麗な神話の世界が描かれる。最後、ゼウスにより地上にたたきつけられながら、地上をみつめつつ美しい盾の模様を思うヘーパイトスと、それに手を差し伸べるヘルメスの姿の余韻が残る。