児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

雪娘のアリアナ

 

12歳のターシャはおじいちゃんが住む山の村に引っ越してきた。おじいちゃんの具合が悪く、独りで暮らせなくなったのだ。住む人が少なく学校もないため自宅学習をしているが、その閉じこもった暮らしをむしろ喜んでいた。ターシャは以前の街で体験した事件がきっかけで、出かけたり友だちと関わることを恐れるようになっていたのだ。それでもはじめての雪を喜び、おじいちゃんと雪娘を作ると、思わず雪娘がほんとうの女の子になり、自分が独りぼっちではなくなるようにと祈った。そして、まさか願いは叶った。ターシャだけが、女の子となった雪娘アリアナと夜に出会い、雪娘とキツネと共に、毎晩楽しい時間を過ごすことができるようになった。だが、どの物語でも春になると雪娘は消えてしまうという。ターシャにはそんなことは耐えられないと思った。そして、その冬の寒さは厳しく、寒さのためにおじいちゃんの体調は悪化、村でもさまざまな被害が出る。ターシャはおじいちゃんのために、春をよぶ雪まつりをしようと決意し、村に住む子どものクララやマイカと仲良くなり、雪娘が人間になれる方法を探そうとお年寄りの話を聴いた。ターシャを変えてしまったできごととは? 春が遅いのはアリアナのせいなのか? そして雪娘は人間になれるのか? 謎解きの興味に惹かれ、かつ様々な昔話が埋め込まれているのを発見しながら読み進む。本をよく読んでいる子は仕掛けに気づき、いっそう楽しく読めるだろう。