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やっぱりおおかみ

 

ひとりぽっちの子どものおおかみは、仲間をさがしていた。うさぎやぶた、やぎたちは、たくさん仲間がいて楽しそう。でも、おおかみの姿を見ると、あわててみんな逃げ出す。するとおおかみは、「け」とひと言。うさぎの仲間なんか、こっちがごめんだ。

いろんな町のいろんな仲間たちを見て気がついたのは、「やっぱり おれは おおかみだもんな」「おおかみとして いきるしかないよ」。
うさぎやぶたなど集団のどうぶつたちは、同じ服で表情は単一、無個性です。一方、孤独なおおかみは、全身黒い影で表情も何もわからないのに、笑ったりおこったり、しょんぼりしたりしているように、見えてきます。始めのどんよりとした灰青色の空が、最後は澄み渡ってすがすがしいラスト。 (は)