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台湾の少年4 民主化の時代へ

 

水害による破産の後、保険会社に勤めることになった焜霖は、日本から台湾に来た要人の同時通訳の仕事を依頼される。臨機応変な対応を評価され、社長の息子の広告会社、出版業などの仕事を任され、いずれも評価される。そうした中、大陸の中国との関係の中で、やっと戒厳令の解除と民主化が進み始める。子どもたちにさえ黙っていた収容所の過去をやっと語れる時代がくる中で、弾圧の時代の証言者としての活動をはじめる。かつての有罪判決が撤回されて名誉を回復されたのは2018年。88歳の時だった。常に前向きで、取り組んだ仕事で成功を収める優秀さを持ちながら謙虚な姿勢、さいごまで妻のきみこと仲良く寄り添う人柄。やっと民主的で平和な暮らしを手に入れた時代を象徴するように、赤がベースとして描かれていて、ほっとさせられる。