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ヒトリコ

 

日都子は、小学校5年の夏休み明けにヒトリコになった。きっかけは冬希くんが転校して一人で金魚の世話をしなければならなくなり、その金魚が死んでしまった事。ヒステリックな担任は日都子のせいだと決めつけて、日都子をなぐり、クラスメイトは全員彼女の敵となった。誰にもかかわらず、だれにも期待しないと決めた日都子。中学になり、クラスでは合唱コンクールのトラブルがおこるが、日都子は静観だ。そして高校になった時、冬希が帰ってきた。彼もまたモンスターペアレントと化した母親に耐えかねて、転校先で息をひそめて生きてきたのだ。小学校、中学、高校と成長する中での苦しみ。平気で児童をなぐる小学校教師やらモンスターペアレント対応などは、現在だったら十分対応可能かとは思うが、なんにしても教室内の力関係や無言の圧力は、決して過去のことではないだろう。そして「ヒトリコ」になったことで見えてきたものを肯定していく日都子の姿もいい。