児童研究書
伝説の編集者ノードストロムの手紙––アメリカ児童書の舞台裏 作者:レナード.S.マーカス 偕成社 Amazon 1940年~1973年、アメリカのハーパー社の児童書部門を統括したアーシュラ・ノードストロムが、作家や画家、読者などに宛てた手紙263通を収める。 本書を…
音楽の根源にあるもの (平凡社ライブラリー) 作者:文夫, 小泉 平凡社 Amazon 1963~1977年に雑誌掲載された論文や講演、対談をまとめたもの。『子どもの遊びとうた』に比べて、わらべうたや民謡についてリズム、音階の分析がさらに専門的で難解でした。 1番…
子どもの遊びとうた 作者:小泉 文夫 草思社 Amazon 1983年の小泉文夫氏の急逝後、わらべうたについての文章をまとたもの。1冊を通して論が展開されているわけではないのと、音楽理論などが難しく読みづらかった。 雅楽や能は一部の階級の文化であって、真に…
子ども・社会を考えるシリーズ 父の話をしましょうか~加古さんと松居さん~ 鈴木万里・小風さち 作者:鈴木万里,小風さち,NPOブックスタート ブックスタート Amazon 加古里子の長女万里と松居直の長女さちの対談。絵本作家加古里子が生まれた背景がよくわか…
アイヌ神謡集 (岩波文庫) 作者:知里 幸惠 岩波書店 Amazon 口承文芸であるアイヌ神謡(ユーカラ)を文字に書き起こし、アイヌ語と和訳をぴたり並べ対応させて著した貴重な書。知里幸恵が選んだ13篇を収める。 アイヌは、山川や動植物、雷などの自然現象、人…
ピリカ チカッポ(美しい鳥) 知里幸恵と『アイヌ神謡集』 作者:石村 博子 岩波書店 Amazon 知里幸恵は、19歳で『アイヌ神謡集』を著し亡くなったが、神謡を”謡えて書ける”人だったことが、かけがえのない才能だったことがわかる。 本書は、幸恵にユカラ(神謡…
〈読む〉という冒険 イギリス児童文学の森へ (岩波ジュニア新書 947) 作者:佐藤 和哉 岩波書店 Amazon 「マザー・グース」「ロビンソン・クルーソー」「クリスマス・キャロル」「不思議の国のアリス」「クマのプーさん」「ライオンと魔女」「第九軍団のワシ…
「かいじゅうたち」の世界へ―モーリス・センダック (名作を生んだ作家の伝記) 作者:ハル マルコヴィッツ 文溪堂 Amazon この本は伝記シリーズとなっているが、センダックの作品が社会に与えた影響についても触れら、作品論の性格も強い。それが意外な内容を…
『子どもに定番絵本の読み聞かせをー選書眼を育てる60冊の絵本リストー』 尾野三千代/著 児童図書館研究会/発行 2021年8月15日 定番絵本とは、「長く読み継がれてきた絵本」のこと。そして、「子どもにとって成長の糧となり、生涯忘れえぬ喜びをもたらす絵…
桃太郎の運命 作者:鳥越 信 ミネルヴァ書房 Amazon 昔話としては比較的新しい「桃太郎」。日本人で知らぬ人はいないと思われるこの主人公は、様々にくり返しパロディ化されてきた。つまり、「政治的・社会的・文化的な変化」を背景にした設定で、時代の要請…
昔話の扉をひらこう 作者:小澤 俊夫 暮しの手帖社 Amazon 著者は、昔話研究を一筋に70年以上。昔話は子どもの成長を助ける、だから身近な人の声でぜひ語ってあげてください、と一貫して伝えてきた。その理由は、昔話のもつ特徴にあるということを、易しく解…
言葉の力 人間の力 作者:中村 桂子,舘野 泉,松居 直,加古 里子 佼成出版社 Amazon 異分野、2世代の4人がリレーする5つの対談を収める。 1926年生まれの松居直氏と加古里子氏に共通するのは、日本のアジア侵略に対する償いと、戦争に生き残った自分はどう…
日本の絵本 100年100人100冊 作者:広松 由希子 玉川大学出版部 Amazon 日本の絵本について、1912年から2014年の約100年間に出版されたものを1作家につき1作品、100冊を紹介する。冒頭の杉浦非水『アヒルトニワトリ』から、それにつづく大正から戦後まもな…
世界の児童文学をめぐる旅 作者:池田 正孝 エクスナレッジ Amazon 児童文学の名作のなかでも、26の作品・シリーズ・作家について、その舞台やゆかりの地を訪ね、写真とともに物語世界や作家の人生を紹介する。 英国を舞台にした作品には、「リアルな舞台や場…
クヌギ林の妖怪たち ー童話作家・富安陽子の世界ー 作者:斉藤洋 講談社 Amazon 斉藤洋が、富安陽子が日本児童文学新人賞を受賞した『クヌギ林のザワザワ荘』を読み解き、さらに富安陽子と対談をしている。自分も児童文学作家だけに、評論というより世界の作…
えほんのせかい こどものせかい (文春文庫) 作者:享子, 松岡 文藝春秋 Amazon 「幼いうちに本の楽しみを知ること」、それには「まわりにいるおとなが本を読んでやること」。 50年の間、子どものためにいいと松岡享子さんが考え、やってきたこと。50年たって…
絵本の記憶、子どもの気持ち (福音館の単行本) 作者:山口 雅子 株式会社 福音館書店 Amazon 「子どもはどうして絵本が好きなの?」「子どもにはどんな絵本がいいの?」という疑問に、大学生がレポートに綴った幼い頃の思い出と、著者が家庭文庫で見てきた子…
まど・みちお全詩集<新訂版> 作者:まど・みちお 理論社 Amazon 2014年2月28日に104歳で亡くなったまど・みちおさん。圧倒される数の詩作の中に、2篇の戦争協力詩がある。「朝」と「はるかなこだま」。まどさん自身によるあとがきには、懺悔の言葉がつづられ…
アイヌの昔話 (平凡社ライブラリー) 作者:萱野 茂 平凡社 Amazon 祖母からアイヌ語で昔話を聞いて育った萱野茂が、戦後、録音して集めた昔話のうち20話。最後の「罰当たりシリマオッテ」はアイヌ語でも収める。副題となっている「ひとつぶのサッチポロ」は、…
光吉夏弥 戦後絵本の源流 作者:澤田 精一 岩波書店 Amazon 岩波で編集をしていた。楽しい絵本の翻訳をした。そんなイメージしかなかった光吉夏弥が、若き日には舞踏評論(しかも難解な文章で!)をしていて、その後写真雑誌に関わり、戦後になり本格的に子ど…
立ちどまらない少女たち: 〈少女マンガ〉的想像力のゆくえ 作者:大串尚代 松柏社 Amazon 「キャンディ・キャンディ」の著作権裁判で、原作者と漫画家が共に「あしながおじさん」「赤毛のアン」などのアメリカ等の児童文学を自分のオリジナリティを生み出した…
挑発する少女小説 (河出新書) 作者:斎藤美奈子 河出書房新社 Amazon 児童文学研究者ではない斎藤氏が、柔軟に本を楽しむ力のある著者だけにやはり面白かった。いわゆる少女小説の古典を読み直し、最後に/シンデレラ物語を脱構築する『小公女』/異性愛至上主…
新装版 バルト海のほとりの人びと: 心の交流をもとめて 作者:百合子, 小野寺 新評論 Amazon ベスコフの絵本や「ムーミン」シリーズの翻訳で知られる著者。職業軍人である夫とスウェーデンにわたり、激動の時代、土地を生きた文章からバルト3国の苦しい歴史…
子ども、本、祈り 作者:斉藤惇夫 教文館 Amazon 福音館書店の元編集者、児童文学作家で、現在キリスト教幼稚園の園長をしている著者の評論、エッセイ集。第1章を読み始めてまもなく、ごく最近わたし自身も心にとめた言葉が目に入りはっとしました。「耳をす…
児童図書館の先駆者たち――アメリカ・日本 (TCLブックレット 「こどもとしょかん」評論シリーズ) 作者:張替惠子,内藤直子,加藤節子 東京子ども図書館 Amazon 現在、公共図書館で当たり前に行われている児童サービス。年齢制限のない公開、児童書目録の編纂、…
石井桃子の日本昔話――『ふしぎなたいこ』と『おそばのくきはなぜあかい』 作者:杉山きく子,松岡享子,下澤いづみ,内藤直子,加藤節子,甲斐智子 「がんばれ!東京子ども図書館」の会 Amazon 石井桃子さん再話による昔話絵本2冊について、石井桃子の蔵書や著作、…
子どもと本 (岩波新書) 作者:松岡 享子 岩波書店 Amazon この度、文化功労者に選ばれた松岡享子さん。子どもと本に関わる人たち、親として仕事としてボランティアとして、ベテランでも初心者でも、また本にそれほど興味のない人も、子どもに関わるすべての人…
だるまちゃんの思い出 遊びの四季 ふるさとの伝承遊戯考 (文春文庫 か 72-2) 作者:かこ さとし 文藝春秋 Amazon 子どもの頃、全身全霊をかけて遊んだふるさと福井での思い出を、春夏秋冬に章立ててつづる。自然の草花や虫だけでなく、剪定された庭木の枝や自…
物語のものがたり 作者:梨木 香歩 岩波書店 Amazon 児童文学に関連する文章をまとめたものだが、前半を占める「『秘密の花園』ノート」は圧巻。『秘密の花園』の一つの読み方を提示しているがとても説得力がある。特に、物語の最後、メアリの存在感がコリン…
岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020 (岩波少年文庫, 別冊2) 作者:若菜 晃子 岩波書店 Amazon 岩波少年文庫70年史だが、この本で初めて知ったのは前史「少国民のために」というシリーズが戦時中に発行されていたということだった。自然科学振興(戦争遂行のた…