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お父さん、牛になる

お父さん、牛になる (福音館創作童話シリーズ)

お父さん、牛になる (福音館創作童話シリーズ)

昨夜、すき焼きをたべてごろ寝をしたお父さん。「牛になっちゃうよ」と言ったら、朝、本当に牛になっていた。ぼくたち家族のことも、どれだけわかっているのか? 食べて、寝て、ところかまわずウンチやオシッコをしてしまう。お母ちゃんは、イラストの仕事で稼ぎ、ぼくもお父さんの世話をするが、おねえちゃんは嫌がって、なかなか手伝ってくれない。お父さんの部下が話してくれた、野球が得意で、宴会を盛り上げるエピソードに、ぼくは、お父さんのことをよく知らなかったことに気付くが、結局、田舎の、お父さんのおかあさんが、牛になった父さんにきづいて引き取ってくれ、ひと段落する。でも、いいのか? これで! いつのまにかお父さんと気持ちが離れてしまった描写はいいが、現実に、牛を家の中で飼えるのか? 田舎のおばあちゃんがいなかったらどうしたのか? 仕事を休んでも、会社は困ったようすがないというのは、たいした仕事をしていなかったわけ? とつっこみどころが多い。少なくても、お父さんにとっての仕事ってなんだったのかは、もう少しはっきりしないとマズイのでは。まぁ、世のお父さんたちの(というより社会人の)仕事なんてほとんど、どうでもいいものかも。

暮らしが困ったようすがないのも、どうなのだろうか? 今どきのお父さんは、いなくてもいいというわけか、少なくとも妻子には必要とされず、親だけがどんな姿になっても世話をするのね、と思わす考えてしまいました。