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ライオンとであった少女

 

ライオンとであった少女

ライオンとであった少女

 

 アフリカはタンザニアで暮らすアベラは、父親が死に、病気の母と妹と共に祖母の家に行くが、結局母も妹も失う。一方、イギリスに住むローザは、母子家庭で母とは大の仲良しだが、その母に養子をとりたいと言われて心が揺れる。この二人の少女の物語が交互に語られる。エイズで死んでいく多くの人々。アベラは、白人女性をだまして偽装結婚をし、人身売買に手を染める悪辣なおじのせいでイギリスに渡ることになるが、その中で「学校に行きたい」という思いで足を踏み出す。貧しいが助け合うアフリカの人、女子割礼、里親家族など社会問題満載なのに、人間の物語として立ち上がってくるのがドハーティのすごさかも。最後は、たぶんこの二人が姉妹になるんじゃないの?と見え見えなのに、どんでん返しにふりまわされ、なかなかそこに向かっていかないのにはらはらしました!