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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

フラワー・ベイビー

 

フラワー・ベイビー (児童図書館・文学の部屋)

フラワー・ベイビー (児童図書館・文学の部屋)

 

 勉強もダメなら、授業態度も最悪。そんなおちこぼれクラスの課題はなんと「子育て」。渡された小麦粉の袋を赤ちゃん(フラワー・ベイビー)のめんどうをみるのだ。 条件は、いつも清潔にする事。体重測定をして、中身が減って軽くなったり、水分を吸って重くならないよう気をつける事。いつもそばにいて一人にしない事。育児日記をつける事。しかも、よく世話をされているか監視員が見張られる。もちろん小麦粉袋だから、オムツもミルクもいらない。なのに、これがなかなかめんどくさい。へんなとこに置くと、汚れるし。どこにいくにも連れて歩くのにうんざりしたクラスメートに目をつけて、有料保育園を開設したヤツまであらわれた!一番夢中になったのはサイモン。父さんが赤ん坊のぼくを置いて、なぜ出ていってしまったのか、フラワー・ベイビーを育てながら考えつづけた。めんどうを見たつもりなのに、いつのまにか汚れてしまったフラワー・ベイビーに、自分には、まだ子育てなんて無理だと気づく。でも、同時に育ててくれた母さんこそ大切で、父さんのことは気にしなくていいことを理解した。はみだし生徒たちにキリキリまいさせられる先生たちの内面や、そう簡単には、まじめになれないサイモンたちの姿が生き生きと描かれていて楽しい。カーネギー賞受賞作。