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二番がいちばん

 

 D.H.ロレンスの短編集。狙っていた男性を手に入れられなかったが、すかさず二番目をからめとる少女の「二番がいちばん」。破産の後、発作的に入水自殺をした娘を助けた医師が、自分を救う男性として見られて狼狽しつつも彼女を受け入れ「馬商の娘」。浮気者の男を車掌の女性たちが共同でとっちめようとする「乗車券を拝見します」など、リアルに瞬間を切り取ってみせるような短編集。ちなみにうさぎの子を拾う「アドルフ」は、我が家のうさぎのきなこさんをほうふつとさせる傍若無人ぶりに妙に親しみを感じた! 白黒の結論をつけるような作品でないだけに、簡単に感想文を書く題材にするには向かないが、余韻を残し、ふとした瞬間にイメージが立ち上ってくるよう。