- 作者: 薫くみこ
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2012/09/11
- メディア: 単行本
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いつもクラスで1ばんをとっている人気者のバイオレット。しかし、主人公は、1番をとることがそんなに大事なことなのだろうか?と静かに疑問に感じていた。そんなある日、学校の先生が、子供達に植物を育てさせることになった。バイオレットは病気になって学校を休むことになり、かわりに主人公は、バイオレットの植物の世話をしてあげることにした。丁寧に世話をしたおかげで、鉢植えの植物は他の子達の植物よりスクスク大きくなった。病気が治ったバイオレットは、再び学校に戻ってきて、自分の鉢植えの植物が大きくなったのを見てビックリ。先生が主人公が丁寧に毎日世話してくれたことを説明するのだが…
いやもう、読んでいるうちに嫌な気分になる不思議な作品でした。バイオレットが悪意がない感じは伝わるのだが、ラスト世話してくれた主人公に小さくつぶやくセリフがひどいのだ。主人公は子供ではあるが、かなり成熟した感性を持っているので、バイオレットがいかに幼稚で、ものの価値観を1番でしか捉えられないとしても、許す…というスタンスをとっている。それは、先生とのアイコンタクトでわかるわけだが、
実際問題これを読むのが、幼い子供達とするならば、主人公の報われない境遇に、どれだけ共感や達成感が得られるものだろうかと疑問に思えてならない。
タイトルのあのこ(バイオレット)の1ばんと、主人公わたしのは、あえていちばんとかき分けているのは、意味があるのだと思うが、そこに考えがいきつく前に、内容自体にやりきれないモヤモヤ感が澱のようにのこってしまう。
ナンバーワンになんてならなくてもいい、もともと特別なオンリーワンということなんでしょうか?読んだあとの疲労感は圧倒的。これ、子供達は満足するのでしょうか?よくわかりませんでした。