児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

王の心臓 ズィーラーン国伝Ⅱ

 

祭りで勝ち抜いた勇者を夫として迎え、王にすると宣言したカリーナ。だがその真意は、母をよみがえらせるための儀式のために、王の心臓を手に入れることだった。カリーナを殺すことで妹を取り返そうとするマリクだが、偶然の出会いから二人はひかれあう。勇者の戦いは、武器ではない。マリクは勝ち残り、その途中で、カリーナと共に王国最大の秘密、裏切者となった初代の顔のない王の正体を知ることになった。(それこそナディアを奪った神霊!)最後の戦いで迷路を制したのはマリクだったが、マリクを救いたいカリーナは、不正を名目にトゥーンデを勝者とした。だが、トゥーンデも初恋の相手、自分は殺せないと感じた時、幼いころから信じていた忠臣ファリードがその心臓を奪う。一方、マリクはナディアを救うために追い詰められ神剣を振るうが、それはカリーナを殺すのではなく、国境の守りを破壊するものであった。カリーナの姉のよみがえりを画策するファリードは、カリーナを母殺しに仕立て、マリクにも刃を向けた。守りを失って周りからの脅威にさらされるズィーラーン。混乱の中、さまざまな断片がジグゾーパズルのようにはまっていくのは素晴らしい。だが、カリーナとマリクが都合よく生き残るのは、ちょっとご都合主義にも感じてしまった。とはいえ、先の展開が楽しみ。