児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

不完全な魔法使い上

 

不完全な魔法使い 上

不完全な魔法使い 上

 

 英雄、魔法使い、農場の少年、領主の娘、王子の5人の物語だというプロローグから、バリバリの本格ファンタジーが幕を開ける。幼いころから謎の頭痛に苦しめられてきた農場育ちのヘリオットは、旅芸人が来た日に、英雄の領土キャシオー島から歩いてきた母親と幼い女の子を見る。そしてその時から何かが変わり始める。ヘリオットの中の「窓」が開き、王都の魔法使いとしての道に向かう。王都でであったのは、狂気の王子といわれるダイサート。奇妙な発作に苦しむダイサートとヘリオットは、互いの幻ですでに出会っていた。ダイサートの兄と婚約している領主の娘リネットは、最初反発し、次にダイサートにひかれる自分に気づく。王は恒久的な平和を築こうと願うが、反乱の種は尽きず、第一王子ベトニー・ホードも、王以上の絶対者になりたいというゆがんだ欲望に取りつかれている。そしてヘリオットは、王都をねじろにする浮浪児ケーリーと出会う。どんな困難も笑い飛ばし、たった一人で生き抜くケーリーにヘリオットは強くひきつけられるが、ケーリーの中には、全てを拒む核がある。そして王が反乱を鎮めに出兵した後。ベトニー王子は英雄カーリオンと組み、反逆ののろしをあげた。