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不完全な魔法使い下

 

不完全な魔法使い 下

不完全な魔法使い 下

 

 王子と英雄が組んだ反乱軍にとらわれた魔法使いは、今や王の執行人(王のみに使える護衛暗殺者集団)として成長したケーリーと再会。そしてケーリーが女性であり、かつて見た幼女であることを悟る。彼女とともに脱出し、ついに完全な魔法使いとして再生する。第2皇子が英雄に挑戦して敗れたのちに、他の領主との縁組を進める父のもとからリネットが脱出。帰国した王とともに、最後の対決が訪れる。野望におぼれ、折り合えるまで夢の世界に向かうベトニー。そしてケーリーは英雄に挑戦する。家族を持ってはならないと定められた英雄の地位を手に入れるために、ケーリーの故郷の村を壊滅させ、兄を殺した自らの父の罪を告発するために・・・。伏線をきちんと回収し、けじめをつける腕はさすが。大地とつながる魔法使いのイメージ。ふつうは白、暗殺の時は黒く顔を塗り、髪を赤く染めた暗殺者のイメージ。王と並び立つ英雄の地位など世界もきっちりしていて文句なし。だが、同時に、マーヒーだからこそ、もっとすごい次元に連れてって欲しい思いも消えない。原題は「ヘリオット」だが、邦題の方が魅力的。