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英雄アルキビアデスの物語=下

 

英雄アルキビアデスの物語〈下〉

英雄アルキビアデスの物語〈下〉

 

 瀕死のアテネは、ついにアルキビアデスとの和解を求め、彼はスパルタへの勝利でそれに報いた。熱狂する民衆は彼を王にまつりあげんばかりとなるが、彼はその熱狂の冷める時をしっていた。そして、彼の片腕の船長アンティオコスが敗れたことをきっかけに再び祖国を追われる。しかし、権力闘争の場となったアテネの政治は混迷し、戦いにも敗れる。たった一勝もぎとった勝利も、損害のひどさに将軍が処刑となる始末。トラキアでそれなりの地位を築き、なんとかアテネを救おうとするアルキビアデスだが、拒まれ、ついにペルシアで暗殺される。アテネの栄光が消えていくさまが、まざまざと描かれ、英雄に関わった一人一人の息遣いが聞こえてくる。相変わらず、戦闘シーンを描いたら、これ以上の迫力はない!という描写力。櫂の飛沫が読んでいてもふりかかってくるようでした。おそるべしサトクリフ。