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もちろん返事をまってます

もちろん返事をまってます (新しい世界の文学)

もちろん返事をまってます (新しい世界の文学)

10代の子達の、けして近くの友達には語られないむき出しの感情のやり取りを覗き見しているように感じる物語。
ノアは、先生の勧めで文通を始めることになった。相手は、脳性麻痺で車椅子にのった少年ドディ。
お互いが、お互いの日常を説明しあって、知らない世界を共有して行き、やがては障害を持つ人間の心をノアは知って行く。非常にナイーブなやりとりながら率直ではっとさせられる描写は多かった。障害をもった同級生が手術で歩けるようになった場合、本当に手術の成功を願えるか?否か?という本音の部分を吐露する場面の鋭さは10代ゆえのものだろうか。
今だったら、メールとか対戦ゲームとかでこんな出会いになっていたかもしれないが、ドディがノアの自筆の手紙を褒めるという、とても繊細なエピソードが無くなるのは残念。ラスト、二人がいよいよ対面する場面は、読んでいてとても緊張してしまった。