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ミルクマンという名の馬

ミルクマンという名の馬

ミルクマンという名の馬

ある朝、具合が悪くて学校を休んでいたヘルマンの家に一頭の馬がやってきた。それは白くて斑のある大きな馬だった。親が留守の間に、この馬は居間にはいり、糞をしたりとくつろぎ始める。やがて、この馬はミルクマンといい、黒い服の怪しい男たちに追われている事を知ったヘルマンは、かくまうことを決意した。
とまぁ、熱に浮かされた少年の夢オチか?と思いきや、ミルクマンは人間の言葉を話さないしファンタジー的な路線にはいかないしで、いったいどんな感じの話になるのかしら?と読み進めてしまった。
いきなり、ヘルマンがミルクマンに愛情を注ぐ経緯が唐突なので、ピンとこない部分もままあるが、
協力者たちが、本来ならば子供の敵になりそうな教師や、老人ホームのコワモテな爺さんやらで意外な登場人物達が味方になる展開は面白かった。
また、内緒にしてたけど実はヘルマンみたいに、ある日馬が訪れてきた人が何人かいた…という設定も面白い。
前半は、ドタバタものかなぁ、と飽き始めることもあったけれど最後はなかなか面白かった。
馬が殺されるから、金で買ったものの、馬の世話がろくにできずほったらかしにしていた馬主に対して、鍛冶屋のフォイヤーバッハが一喝する場面は、可愛いから、好きだからと安易にペットを買い放置してしまう人間に対しての怒りのようでもある。