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怪物ガーゴンと、ぼく

 

怪物ガーゴンと、ぼく (児童図書館・文学の部屋)

怪物ガーゴンと、ぼく (児童図書館・文学の部屋)

 

 祖母の遠い親戚だというアニーは、一見ただのおばあさん。だが、病後に自宅療養中のデビットは、家庭教師をして貰うことで、その思いがけない正体を知った。彼女はガーコン(その姿を見ると石になるゴルゴンがなまった)だったのだ。勉強を教えていても、話はすぐにあちらこちらに飛んでいく。ピラミッドにのぼり、ヨーロッパ中を旅した若い日々。決して消えない好奇心。そのパワーはデビットを魅了する。貧乏で何一つ残せなかったと大人たちはいったが、デビッドだけは、ガーコンがくれた大きなプレゼントをしっかりとうけとめた。夢想家のお父さん。職をなくして旅立つウィルおじさん。おしゃれなフロリーおばさん。1930年ころのアメリカの大家族を舞台とした、自伝的な作品。ガーコンというすぐれた教師のおかげで、学問への愛が芽生え、気付いたら初めて学力を評価されたデビッドの驚き、そして画家になると、決意してちょっと大人になる姿が魅力的。