児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

 

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐
 

 出ました! 上橋先生の待望の新作。そして読みました。

敵の侵略を受ける中、有利な講和条件を結ぶための抵抗部隊:独角で、負けることを承知の戦いを率いたリーダーのヴァン。妻子に先立たれ死に場所を求めていたのに、生き残り、捉えられ、塩鉱山の奴隷とされてた。だが、鉱山は狼とも山犬ともつかぬ獣に襲われる。獣は、意思を持つように全ての人間を噛み、去っていった。数日後、謎の病気が発生。ヴァンは、高熱から生還するが、気づけば彼以外全員が死んでいた。鎖を必死に引き抜き、生者をさがすと、生きていたのは幼い女の子のみ。ヴァンは、その子と共に鉱山を脱出する。謎の疫病の発生に呼ばれてきた天才医師ホッサル。ホッサルの故国は、かつて黒狼熱という病のために滅びた過去を持つ。病の手掛かりを求め、跡追いの名手サエに探索が依頼される。東乎瑠帝国とその支配下に入ったアカファ王、植民政策の中のぶつかり合いと、上橋さんらしいきっちりした世界の中で、医療と政治がシンクロするようにもつれ合います! ちなみにヴァンは飛鹿という、山の中の鹿に騎乗します。飛鹿かわいいです。