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パーフェクトコピー

 

パーフェクトコピー (ポプラ・ウイング・ブックス)

パーフェクトコピー (ポプラ・ウイング・ブックス)

 

 「おまえには才能がある」家のしきたりで、無理やり音楽への夢を断ち切られた父は、ヴォルフガングに繰り返しそう言って、チェロ奏者の道を強要する。おとなしい彼は従ってきたが、自分に自信が持てない.そんなおり、初の人間のクローンの情報が流れ、ヴォルフガングこそそうであるとスクープされた。自分は父のクローンかと悩むが、遺伝子検査でその疑いは否定された。だが、記憶にない自分の写真の発見で、彼は混乱する。才能とはなんなのか、遺伝子で全てはきまるのか、クローンとは化け物なのか?そんな疑問にまじめに答えた作品。子を支配しようとした父の狂気。健全に自分らしくあろうとするヴォルフガングと彼のガールフレンドの存在がとてもいい。