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ぼくの、ひかり色の絵の具 2015 小学校 高学年課題図書

 

ぼくの、ひかり色の絵の具 (ノベルズ・エクスプレス)

ぼくの、ひかり色の絵の具 (ノベルズ・エクスプレス)

 

 六年生のユクは、おとなしくて口下手な男の子だ。絵が得意だが、じっくり描くため図工の時間には完成せず、いい点がもらえない。担任の石丸先生は強引で苦手だ。担任が遅れるため隣と合同で行った図工の写生。隣のクラスのガウディ先生は、ほめてくれたが、石丸先生に葉を緑に塗っていないと注意される。無理に塗らされた緑の絵の具に傷つくが、それをきっかけに明るい女の子ハネズと友達になる。だが、ハネズにも言いたいことが半分もいえず誤解され、懸命に話そうと努力する。無理に緑にした絵がいやで破いたことから、石丸先生にいじめを受けたと誤解され、家にも伝わる。ユクを理解してくれるハネズがとてもいい子だが、6年女子でこういういい子はなかなかいないかも! ちなみに、かつて画家にあこがれていたという父が、ユクに透明水彩の絵の具を与えていて、重ね塗りができるその特性がタイトル「ひかり色の絵の具」である。ゆっくりと成長するユクの姿に共感したというように読書感想文にまとめやすそうな気がするが、一人息子への両親の対応は過剰かも(いろいろ習い事させたち、透明水彩用絵具与えたり)。ただし、そこが逆にリアルかもとも思う。読み手を選びそう。