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雪原の果てに 14歳のシベリア探検記

ユーリィ・クルトゴーロフ作 田辺佐保子訳 佑学社

ISBN9784841605037 

ワシーリィ(通称ワーシャ)は、貧しい兵隊の息子だったが、その優秀さを認められてギムナジウムにに入学した。18世紀ロシアは、探検をまっている白紙の地図の台地が広がり、ワーシャもクラスの友達も探検へのあこがれでいっぱいになる。そんな折、博物学パラスが率いるシベリア探検隊に助手として加わることが許される。年齢は、わずか14歳。緻密な観察と語学の才能が認められ、途中からカラ湾調査を率いる分隊長として抜擢される。学術探検が理解できないコサック兵や、途中の部族民と出会い、何度もトラブルになりかけるが、武力ではなく、理解による説得を心がけ、ついにカラ湾に到達。詳細な記録を残す。忘れられていた実在の少年をモデルとした物語は、気楽に読めるものではないが、じっくりと読む力がある子どもには魅力。