児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

たまごを持つように

 

たまごを持つように

たまごを持つように

 

 中学に入り、早弥は弓道部に入ったが、一向に上達しないのに落ち込んでいた。そんな早弥にとって同学年の実良は理解不能。いきなり抜群の弓にセンスを発揮して早弥を落ち込ませたのに、徹底したマイペースで同級生からも浮いている。もう一人の一年生の春は、アメリカ人で黒人の父を持つハーフで勇壮な弓をひくイケメンだ。部長の由佳はおっとりと落ち着いていて、県下でもトップクラスの実力の持ち主。一人だけ上達しない早弥は、たまごを持つように弓を持てという教えを理解しようと、必死になってついに実際うずらの卵を持つ訓練を始めた。そんな折、実良は急に調子を崩し的に当たらなくなってしまう。3人で行う団体戦に選ばれ早良はあせるが、そこでは新たなライバルたちとの出会いもまっていた。弓道というちょっと特殊な部活を舞台とし、途中の試合シーンなどで盛り上げて楽しく読ませてくれる。だが、どうもお話を作っている(技術があって組み立てている)感じを私は受けた。まはらさんの作品には何となくそんな感じがあって、私は最後の一歩がのめりこめない。あと、春が新聞社に取材されるのだが、外国人のハーフということでもてはやされる感じ、春自身もいやじゃないのかな?とちょっと気になった。見かけの違いで嫌な思いをしてきたのをはねかえしたのと、見かけの違いで持ち上げられるのってちょっと表裏一体の気もする。春くんに不満がないならOKですが。