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アシハヤ イコロイ・インディアンに残された物語

 

横書きで字が中心なので低学年の子が自分で読むには向かないかもしれないが、読んであげれば5歳くらいから理解して楽しめる。昔、部族同士の争いが絶えず、戦闘で人が死ぬと、その復讐の連鎖が断ち切れない状態が続いていた。やっと偉大な平和が訪れたが、一部の者は、戦争が続くことを願っていた。そしてやっと偉大な平和が訪れたのに、それに不満を持つ若者が存在していた。そして他の部族をたずねて行った若者が行方不明になる事件が続く。村の長老と知恵あるグラン・マザーは相談して、勇気のあるものを募るが誰も名乗り出ない。そんな中「足早(アシハヤ)」と呼ばれ、両親を失くして、祖母と暮らす年若い少年が、その要請を受ける。父の弓と祖父の帽子をかぶり、祖母の作ってくれた4足のモカシンと保存食を入れた巾着(ポウチ)を持ち、子犬と共に出かける。アシハヤは巨大なクマの姿をしたニャグワに襲われるが、ひるまず「見つけたぞ! もう逃げられないからな!」と言ってひたすら追うと、ニャグワは逃げていく。4足のモカシンを履きつぶして追い続けたアシハヤは、ついにニャグワを倒し、骨になった若者たちを生き返らせた。いまや立派な若者になったアシハヤは故郷に帰る。シンプルな英雄物語で、読んでいて気持ち良い。