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あぐり☆サイエンスクラブ:秋と冬、その先に

 

あぐり☆サイエンスクラブ:秋と冬、その先に

あぐり☆サイエンスクラブ:秋と冬、その先に

 

種まきから始まった稲作体験もいよいよ収穫のときを迎える。稲刈り、精米、新米をかまどで炊いて味わって、わら集め、秋起こし(秋のうちに田んぼを耕す)、1月雪の田んぼでの豊作祈願と、どんどん進み、3月には自然科学研究発表会であぐり☆サイエンスクラブの学、雄成、奈々の3人は立派に発表をやり遂げる。
秋、金風に揺れる稲穂波や、わらしべ布団にくるまって見上げるふたご座流星群ずんだ餅、腹子飯(イクラご飯)、イナゴの佃煮、わらつと納豆。わらを積み上げた「わらにお」に渋柿を入れておくと甘くなるなどなど、都会ではとても味わえない体験の数々が並ぶ。ただ、稲作体験のクラブという割には子どもは見学のみの機械作業もあり、少し物足りないような気もする。全3巻を通じて時間の経過が早く、稲作の工程とそれを取り巻く自然科学、日本の食文化を紹介したガイドブックのようになってしまっているので、取り上げるものをしぼり1つ1つに時間をかけて子どもたちが取り組む物語だとよかった。