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心ってどこにあるのでしょう?(2019課題図書小学校低学年)

 

心ってどこにあるのでしょう?
 

 作者がシンガーソングライターやエッセイストでもあるという経歴を見て納得。ムードはあるけれど、よく意味がわからない絵本。そもそも「心とは何か?」を考えないでどこにあるか?と聞かれても・・・。「心」自体を問題にしなくていいの? 「心ってどこになるのでしょう? すきなひとにあうと ほっぺがまっかになった。 心はほっぺにあるのでしょうか?」と始まりますが、なるほど、これを曲にのせたらそのまま楽しく聞けるのかもしれませんが、私は混乱しました。「すきなひとにあうと ほっぺがまっかになった  わたしのほっぺになにがおこったのかしら? 」という問題のような気がします。また「ぼくは いやなことがあると おなかがいたくなるんだ だから 心はおなかにあるとおもう」も「ぼくは いやなことがあると おなかがいたくなるんだ おなかもいやがっているんだな」という感じ? 「心」という抽象的なことをつきつめずに、「気分」位に扱えば、感想文が書きやすい本だと言えるかもしれません。つまり「わたしも、ろうかでハナちゃんとぶつかって、ハナちゃんににらまれたら、ぶつかった肩よりも、目がパチパチして涙がでてきました。だから、心は目にあると思いました。」みたいに、てきとうにいくつかエピソードを考えれば書けそうな気がします。でも、心をそんなに軽く扱っていいのでしょうか? 個人的には強い抵抗感があります。低学年は、抽象的な思考を育てていく時なので、「場所」ではなくて、自分の中で何かが起こっている不思議をまず受け止めて欲しいです。