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ネバームーア モリガン・クロウの挑戦

 

ネバームーア モリガン・クロウの挑戦
 

モリガンは呪われた子供だ。今11歳だけれどまもなく闇宵時が訪れたら死ぬことがわかっている。モリガンが言葉をかければその人は厄災にや不運に襲われる。だからモリガンは、しょっちゅう「あなたがコンテストで失敗してすいません」とか「マーマレードがだめになってすいません」とお詫びばかりしていた。大臣の父親にとっては悩みの種だ。小学校を終えた優秀な子は各種教育機関から入札される決まりだが、モリガンはあきらめていた。だが彼女に複数の入札があったのだ。一つはスコール産業のミスター・ジョーンズ。国で2番目に有力な会社の後継者になれると誘ってくれるが、父が来ると姿を消し、父は全てイタズラだったという。だがその夜、闇宵時の真夜中直前に〈輝かしき結社ワンダラス・ソサエティ〉からの勧誘用紙が届き、思わずサインをするとジュピター・ノースと名乗る不思議な男が迎えにやってきた。死の運命〈煙と影のハンター〉を振り切り、二人は他の国から隠されたネバームーアに到着する。ワンダラス・ソサエティに入るには3つの試験をクリアした上で特技を披露しなければならないというけど、モリガンは何の特技もない。一緒に試験に挑戦する中で友人になったドラゴン乗りのホーソン。ジュピターの甥だという不愛想なジャック、ライバルの嫌味なノエルなど誰が敵で味方なのか? そして自信を失うモリガンの前にまたもや現れるミスター・ジョーンズの正体。モリガンだけが持っている特技とは? ドキドキハラハラの展開を巧みに描いたジェットコースターのような作品。類似作品の中では質が高く、十分に楽しめるが、遊園地のアトラクションっぽい感がぬぐえなかった。魂を持っていかれるようなレベルと、こうした巧みなストリーテリングは何が違うんだろうと読んだ後に思わず考えてしまいました。