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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

はるか遠く、彼方の君へ

 

はるか遠く、彼方の君へ

はるか遠く、彼方の君へ

 

夕鷹は人づき合いが苦手で周囲からは変わり者扱い。早くに両親を亡くし里親を転々としているせいだと思われていた。高校の修学旅行中、京都国立博物館の展示物を1人ぼーっと眺めていると、歌うような女の声がかすかに聞こえ1本の剣と目が合ったように感じた瞬間、景色が一変。なんと源氏と平家が争う戦火の最中へタイムスリップしてしまった。夕鷹を助けたのは源義経。そしてほどなく、同じ瞬間にタイムスリップしてきた高校生、遠矢と華月にも出会う。義経は、夕鷹たちを「髪の短い異国の衣をまとった若者が源氏を勝利に導く」という予言の下に現れたと信じ、重要な軍議や戦場へ連れていく。義経は自らの立場を有利にするため、夕鷹たちは現代に戻るため、天皇家の宝物三種の神器を平家から奪還することを目的に行動を共にしていく。そして夕鷹は、遠矢や華月と助け合い、義経、弁慶、静御前那須与一安倍晴明といった歴史上の人物たちと生身にふれ合いながら、生きる価値や人と向き合う強さを身につけていく。悩みもがき恋して成長する、青春ものです。   (は)