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青葉の笛

 

青葉の笛 (日本の物語絵本)

青葉の笛 (日本の物語絵本)

 

 「平家物語」一の谷の合戦での「敦盛の最期」を扱ったもの。

熊谷次郎直実は15才の息子の初陣を飾るため源氏軍の先陣をきり海に入るが、一騎の平家武者を呼び止めてみるとそれは息子と同じ年ごろの少年。潔く討たれる姿に直実は戦のむなしさを感じ、その後この若武者平敦盛の笛を持ち出家したのだった。
『お年寄りにもおはなしを!』(山根玲子著、やまね舎)で、高齢者施設のおはなし会で喜ばれたものとして紹介されている。明治時代につくられた唱歌「青葉の笛」が有名で、戦前戦中に子ども時代を過ごした人ならだれでも思い出す名曲とのこと。墨絵による風景や武者装束の美しい描写は子どもにも味わわせてあげたい。歴史に興味の出る高学年くらいから。思い入れ過多にならないよう時代物の重みをこめて読んであげたい。(は)