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ベネベントの魔物たち 1 いたずらの季節

 

イタリア・ナポリの北東に位置する町ベネベントには、魔物と言われる存在―魔女、精霊、妖精、ゴースト、デーモン―などなどがたくさんいる。人間の姿をして人々にまぎれこんでいるジャナーラもその1つ。春はジャナーラのいたずらの季節。ふたごのローザとエミリオはそんな町に暮らしていた。

思慮深いエミリオは魔物払いのおまじないを欠かさない。一方食いしん坊でいい加減なローザは、このところ、キリキリとしたお腹の痛みと鼻のむずがゆさに悩まされていたが、これまで父さんに叱られる度にジャナーラのせいにしていたため信じてもらえない。エミリオと2人で占い師のピアばあさんを頼るが成果はなく。しかしエミリオが、ピアばあさんの階下に住む義足のアメリゴじいさんから教わったオレガノの小枝を使い、ようやくジャナーラのいたずらをやめさせることができた。

このことがあってアメリゴじいさんこそジャナーラなのでは?と疑い始めるエミリオ。そして友だちのプリモのお母さんがジャナーラだといううわさもある。多くの謎を残して「ものがたりはつづくよ!」と誘う結び。町の地図や豊富な挿絵、さらに続巻と同じふちどりのページを並べると大きな場面になるなど、物語以外に子どもの興味を引く仕掛けがいろいろと。  (は)