児童書評価のページ

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紙の心

 

紙の心 (STAMP BOOKS)

紙の心 (STAMP BOOKS)

 

 図書館の本の間に挟まれたメモから始まった偶然の交流。互いに正体を隠し、ダンとユーナと呼び合いながら文通が始まる。ダンはユーナに会いたいと誘うが、ユーナは自分にはその準備がないと応じない。二人がいるのは“研究所”。何かの治療中だということが徐々にわかっていく。しかも、そこにいる子どもたちはなにか問題を抱えているらしいことも。こうした設定はありがちともいえるが、二人の手紙だけで語られる繊細なやり取り、ダンのルームメイトのアラミスとポルトス(三銃士にちなんだ仮名)やユーナの友人ヨランダなどの活躍も楽しい。人見知りな二人が、互いにひかれあう中で受け身の毎日から抜け出そうと歩み始める感じがとても魅力的。