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一華後宮料理長

 

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

一華後宮料理帖 (角川ビーンズ文庫)

 

雪理美は、皇女として生まれたものの、母の身分も後ろ盾もなく、斎宮に仕える美味宮(早い話が料理人)として7歳からの日々を送っていた。だが、和国から崑国の後宮に献じる皇女として17歳で崑に行くことになる。異国の心細さを、和国からの麹付の壺で漬物をつけたり、偶然台所で胴長でモフモフな生き物を見つけてかわいがって気を紛らわせていた。ところが倭国の献上品(昆布と鰹節)が、崑国の人にはわからず侮辱とみなされて殺されそうになる。彼女に味方してくれたのは食学博士周朱西。冷酷無比といわれる皇帝龍祥飛、彼の幼馴染というが一癖ありそうな武官秦丈鉄、美貌の宦官で実は皇帝の腹違いの兄である蔡伯礼などの思惑が絡む宮廷で、ただおいしいものを作りたいという理美の活躍が始まる。という設定で、気楽にテンポよく読ませてはくれるんだけど、7歳から料理ってどうやって料理おぼえたの? と、ここの料理修業が描かれていないと、後の展開に対し、どうかという気がした。平凡だけど、一所懸命な女の子のまわりにイケ面がズラリ。そして実は両想いの周は恋愛にオクテ、とラノベの王道ですが。