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カラスだんなのおよめとり―アラスカのエスキモ―のたのしいお話

 

アメリカの生物学者チャールズ・ギラムが、エスキモー人から直接聞いたお話集。ギラムさんがアラスカに通って観察したとおりの鳥や動物の生態が「まちがいなくおりこまれて」いるというお話は、どれもそこぬけに楽しい。

突拍子もないのが「ツルさんの目は なぜ青い」。子育てに飽きてひまを持て余すあまり、目玉なしで木イチゴを探してみることにしたツルだんなのあっけらかんとした顛末。仲が良すぎていさかうようになってしまった「ネズミどんとノミどん」の、嫌がらせの応酬はすさまじい。ネズミどんの布団にノミどんが子分たちを五万とふりまいたり、今度はノミどんがぐっすり寝ていると、ネズミどんが石を投げこみ驚いてすっ飛んだノミどんは体が皮からぬけてしまったり。最後は仲直りにほっとする。ほかにエスキモー人に火と幸せをもたらすフクロの話「キラキラ光る火の鳥」や、食いしん坊でみえっぱりのカラスだんなは、いくつかのお話に登場する。

丸木俊の挿絵が、本当に愉快でぴったりです。 (P)