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博物館の少女

 

時は明治時代。大阪の道具屋に生まれた女の子イカル。目利きの父にかわいがられ、いろいろ教えてもらっていたが、父母を早く亡くし、13歳で東京の遠縁の親戚の元に来た。親戚の老夫婦は躾にきびしくイカルは息が詰まりそう。だが老夫婦の娘が嫁ぎ先は浮世絵師河鍋暁斎で孫娘トヨは2つ年上。イカルの良い友だちになってくれた。トヨと共に出来たばかりの博物館に行ったところ、なんと館長田中は父の知り合い、その場できちんと鑑定ができたことが縁となり、博物館の古蔵で仕事するトノサマと言われる織田賢治の手伝いをすることになった。老夫婦は元旗本という身分に感激して手伝いを推奨。息苦しい家から自由になる時間ができたのだが、早々に古蔵に盗難事件が起こる。盗まれたのは、価値がないと鑑定されたはずの黒手匣。トノサマの家の奉公人アキラは、一緒に働いているが信用していいのかわからない。そんな時、思いがけない事件のヒントを見つけるが、事件の裏には不思議な怪異もひそんでいた! 日常の事件と怪異が程よくブレンドされた楽しい作品。読みやすいがきっちり伏線もあり、本好きな子に喜ばれそう。