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ミシシッピ冒険記 ぼくらが3ドルで大金持ちになったわけ

 

1904年アメリカ。ミシシッピ川の河口に広がる田舎の湿地。医師の息子エディ、父を失くした3男テ・トワ、そして一人暮らしでたえず男たちがやってくる母を持つ姉の白人のジュリーと弟の黒人のティト。この4人はいつも一緒に遊んでいて、たまたま3ドル入りの空き缶を釣り上げた。なにか素敵なものをこれで買おうと考えた4人はカタログ販売でリボルバーを注文したが、届いたのは壊れた古い時計。がっかりした4人の前に、カタログ販売会社の社員だという男が、50ドルでミスをお詫びしようと時計を受取りにやってきた。だが、どこかあやしい。結局子ども相手と、ただで巻き上げようとする男から4人は逃げる羽目になり、男は湿地にはまってワニに襲われて命を落とした。男の荷物から、時計に4000ドルもの賞金がかけられていることを知った4人は、カタログ会社に直に届けて賞金をもらおうと出発する。まず行動のテ・トワ、慎重で観察力があるエディ、この機会を活かして弟と自分を守るチャンスをつかもうとするジュリー。普段は言葉すら発しない小さなティトは、数字への強いこだわりがあり時計に夢中だ。ミシシッピをさかのぼり、田舎から大都会シカゴへ向かう4人。子どもだけで汽船に乗り込む工夫。無賃乗車の汽車旅。たどりついたとたん無賃乗車で逮捕されてしまい、カタログ会社の社長に救い出されるが、思いがけないどんでん返しが待っていた。章ごとに語り手が変わり、それぞれの子どもたちの視点で物語が進んでいく。著者はなんとイタリア人で、途中ででてくる様々な人物のうさんくさいキャラの味わいが面白いのだが、ちょっとイタリア的かも!