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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

空から見えるあの子の心

 

エイプリルは小学校6年。友だちといるのが得意ではない上に、友人だったジェリーが夏休みの後に、急にオシャレになってかわってしまったので、一人でランチを食べるのが嫌で「ともだちベンチ」係を志願した。昼休みの校庭で、友だちがいない子の相手をするのがその役割だ。そこでであったのがジョーイ。誰とも遊ばずに、校庭でひっくり返って空を向いている。校庭をやたら歩き回ることもある。字を読んだり書いたりするのもできないといううわさのある4年生だ。「ともだちベンチ」係でペアになった4年生のビーナはインドからの転校生。まじめだが、インド人は学校でたった一人という中で、やはりちょっと心配になる。気になるとのめりこんでしまうところのあるまじめなエイプリルと、なぜそういう行動をするのか周りに理解されないジョーイ。だがある日、ふと足を引きずるように校庭を歩き回るジョーイは、大きな絵を描いているのではないかと思いつく。そして、それは当たっていた。地上絵のサイトをビーナが見つけ、ジョーイに見せたことで、ジョーイは二人を受け入れる様子を見せてくれるが、みんなにその才能が知れ渡ることで、ジョーイは一気に人気者になるものの、過剰な期待も寄せられるようになってきた。はたして、何がジョーイにとって一番良いことなのか?混乱するエイプリル。ついに大切な試合の前のグランドに学校のマスコットの絵を描くことを依頼されるジョーイ。だが、ジョーイにはそれがよく理解できない。はたしてジョーイは何を描くのか? まじめで、なんでもつき詰める感じのエイプリルと、自分のやり方しかできないジョーイ。先が読めずになかなかハラハラさせてくれる物語でした。