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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

へそもち

 

高い黒雲の上に住むかみなり。ときどき地上に下りてきては、牛や人間のへそを取るなど悪さをするので、村人たちは困っていました。お寺の和尚さんが一計を案じ、五重塔のてっぺんにやりを結びつけます。まんまとやりに引っかかったかみなり。しかし、おへそを食べないと雨を降らすことができないというので、和尚さん、今度は村の衆と、へそもちを山のように作ってかみなりに持たせました。それ以来かみなりは、屋根にやりのついているうちには、飛び下りなくなったということです。
火打石を「かちっ、かちっ」、たいこをたたいて「どろどろ、どどん」、へそをとられて「ほう、ほう」と牛。読み聞かせると、たくさんのオノマトペが楽しい。じっとできないように見えた子が、かみなりが瀬戸物屋の皿を割った「にせんごひゃくさん」「さんぜんはっぴゃく」という数におどろいて、「さんぜん?!」と言ったりもして、ちゃんと聞いていることが分かります。ページを上下にめくり縦長に広がる絵が、空から見下ろす高さを感じさせます。 (は)