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海はもうひとつの宇宙

 

海底は、宇宙と同じくらい神秘で、人間の好奇心をかきたてる未知の世界。その探求の歴史を解説する。

海洋学の始まりは浅く、イギリスのチャレンジャー号による探検は、19世紀後半。それよりも先んじて、海底世界を生き生きと描いたのが、ベルヌとド・ヌヴィル(挿絵)の『海底二万海里』でした。

人の肺は、わずか1mもぐるだけでも水圧に耐えることができない。それを克服する潜水装置の開発に、長い苦労がありました。ベル型の容器に入ってもぐる潜水ベルから潜水服へ。そして、スクーバ(自給式水中呼吸装置)の発明へ。いまやダイビングは、一般にも広く楽しまれるレジャーになっています。

海と宇宙のを結びつき。アメリカの生物学者が初めて深海へ潜ったときに宇宙を思い浮かべたそうですし、その30年後1961年に、ロシアの宇宙飛行士ガガーリンが、「地球は青い」と伝えました。

人間にとって、海は広く大きく深く思えるけれど、地球の体積にしたらわずか0.1%。最後の場面に、海がたったひとしずくに描かれていて、海の環境を守らなければ!という切実なメッセージが伝わります。(は)