児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

葉っぱの地図

 

12歳のオーラは、かあさんが死んでからもたった一人で暮らしていた。母さんが教えてくれたのは薬草の知識。そして植物たちはオーラにさまざまな事を教えてくれた。村の人たちの助けに背を向けるようにして。だが、葉っぱに黒い斑点があらわれる。村人にも病人が出始め、お屋敷の主ハイドンは病の原因は植物だといって植物を焼き払おうとする。川で交易をしているブルーコートの一人イドリスは、兄が病にかかったと言ってオーラに助けを求めてくる。そしてハイドンの姪アリアナは、かつてはオーラの遊び友達だったが、母親が死んでからはすっかり疎遠になっていた。母親は病の治療法を知っていたに違いない、その手がかりは川の上流にある。イドリスもまた兄から上流に病のヒントがあるときかされていた。この3人はブルーコートの船に密航して川の上流に向かうことになる。だが途中で3人は見つかる、そしてオーラは誰のことも信用しなかった。母親の思い出にしがみつくだけだったオーラが、自分の無力さに気が付き、ついに3人は助け合うことになる。人々を蝕む「葉っぱの地図」と呼ばれる病の原因と治療を見つけ出していくラストはほっとするが、それよりも安心させられるのは、オーラのかたくなさがほどかれていくところかもしれない。私たちは、なにかと意固地ですからね。