児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

私立探検家学園3 天頂図書館の亡霊

 

探検学園で2年生(小学校6年生と対応)に上がったコロン。でも仲良しだった流に世界的有名なモデルの親戚がいることを興奮して褒めたら、逆にトラブルになってしまった。一方、いつも実習に行く先について並行世界(パラレルワールド)ではないかという仮定をたてて密かに調査も開始。そんな中、3回目の実習が始まる。今回は南米のような世界でメガクリスタルを見つけるというミッションだ。偶然祭りの日に到着したみんなを歓迎してくれた村人たち。村人たちの案内で神殿に行くと、階段ピラミッドのある神殿には、文字が一文字だけ書かれた白紙の本が収まった図書館が。だが、祭りには恐ろしい儀式があった。そして、なんとか無事に帰還したコロンだが、別班についていたジム・スコットが帰還できなかったことを知る衝撃の結末で次回に続く。これは、続きが気になりますね!

私立探検家学園2 あなたが魔女になるまえに

 

探検学園2回目の実習で送られた7先は、まるで中世の村のような世界。キリスト教はないけど、ちょうど宗教団体の一行が城主に訪れていた。ひょっとして、これがきっかけで宗教が力を持って魔女狩りが始まる? そんな不安が頭をよぎるコロン。今回のグループ・リーダーはアリカ・リヴィングストン。有名な探検家リヴィングストンの子孫ですごく優秀なのに、お母さんは女性だと探検家としては不十分ではという思いにとりつかれているみたい‼今回のミッションはマンドラゴラをさがせ。そして現地で仲良くなった森で暮らす薬師ミーナが魔女にされかける危機に遭遇した。そして前回も出会った謎の男ジョン・ソードと再会する。探検学園とは? そして実習で行く世界とは? 謎が深まる第2巻でした。

私立探検家学園1 はじまりの島で

 

小学校5年の松田コロンは、おじいちゃんが予約していたという私立探検学園に、突然転校させられた! ところが、到着してみると校舎の前には川が。集まってきた面々は、泳いだり、浅瀬を見定めて跳んで向こう岸に行ったり、投げ縄を伝って渡ったりと次々に渡っていく! もちろんコロンだって、近くの倉庫のブラシを利用して竹馬を作って無事に渡った。世界中から来たという25人の仲間。正解はない! という先生たちの言葉に戸惑いながら、探検家としての不思議な授業が始まる。高学年がわくわく読める楽しい展開。有名人(リヴィングストンやスコット)の子孫などもクラスにいて、それぞれいい味を出している。

フランクリンと空とぶ本やさん

 

ドラゴンのフランクリンは本が大好き。自分で読むだけではなくだれかに読んであげるのも大好きです。でも、町に遊びに行くとみんな怖がって逃げてしまいます。ところが、本が大好きでドラゴンの本を読んでいたルナだけは違いました。ルナと仲良くなったことをきっかけに、みんながフランクリンに本を読んでもらって楽しむようになります。ちょっとアルアルの展開ですが、大型絵本の絵が魅力的。小学校の読み聞かせに使えそう。

3000万語の格差

 

著者は、アメリカの小児人工内耳外科医。声や音が聞こえるようになっても、話せない、言葉が理解できない事例に接し、追跡研究を思い立ち、人は3歳までにどれだけ言葉かけをしてもらい「聞く」かによって、その後の読解や学力、自己制御力の伸びに影響を与えるか、を明らかにした。

言葉かけの格差は、3年間で3000万語に達し、親の学歴や経済的地位とは関連しなかったという。

また、かけられる言葉は、「肯定的で、子どもを応援する言葉」がよく、否定的、命令や禁止の言葉は、子どもの脳を極度なストレス状態に置き、言葉の習得を抑制するばかりでなく、発達への深刻な影響、学びの困難へと落としいれる。

「脳を育てる栄養」は「言葉」だけ。7歳くらいまでの子によく見られるひとりごと(セルフトーク)も、自分に向かっての語りかけで、よいことなのだとか。

後半半分は、著者たちが推進する「3000万語イニシアティブ」プロジェクトの実践方法とその成果、アメリカにおける広がり。 (は)

コーヒーを飲んで学校を建てよう

 

 

アフリカの最高峰キリマンジャロの名を有名にしたコーヒー。それは、タンザニアから世界中に輸出されています。コーヒーを飲んで産地の村に図書館や学校を建てよう、という運動に加わる著者は、現地でコーヒーを研究している日本人に会うためルカニ村を訪れます。

タンザニアのコーヒー畑は、いろんな木が植わっていて森のよう。直射日光を嫌うコーヒーのために、背の高い木やバナナで日陰をつくります。根元にマメやイモ類を植えることで、栄養分のチッソが蓄えられます。この伝統的な栽培法によって、近年の干ばつの際も被害は小さく済んでいるとのこと。

村の暮らしやコーヒーの栽培、加工法を紹介しながら、子どもの教育や村の生業としての持続性などの課題が、日本ともつながっていることを考えさせます。

福音館書店の「月刊たくさんのふしぎ」から単行本化(2022年5月)。巻末に作者、監修者による支援のようすと解説が、写真とともに加えられました。 (は)

プラム・クリークの土手で

 

ミネソタ州にやってきたローラ一家。プラム・クリークの大草原に、父さんは念願の家を建てます。

ローラとメアリイは、7才と8才。クリークでの水あそびにプラムもぎ、わらづかのすべり台と毎日遊び回る楽しい日々ですが、いよいよ初めての学校に町へ通うことになります。村の子とばかにしてくるネリーは好きになれないけれど、学校は楽しい。初めて参加した教会のクリスマスでは、すばらしいツリーに声も出ません。

イナゴの大量発生や大草原の火事、激しい吹雪と、容赦なく厳しい自然の暮らしは、父さんの小麦畑も思うように収穫が得られず苦労が続きますが、家族がお互いを思いやりながら懸命に生きる姿があたたかい。

4年生で読んだとき、家を建てるまでの間に住む土手に掘られた土の家は、どんな気分だろうと興味をそそられました。 (は)